渡邊勝己監督を取材~総体に向けての巻き返し~

(OB記者)
こんにちは。本日は総体予選に向けた新チームの現状などについて監督にお伺いしたいと思います。まず、正直申し上げて、先日の新人戦での中部予選敗退という結果に対して、一人のOBとしてショックを受けたのですが、渡邊監督はどのように受け止められているでしょうか?

(渡邊監督)
今の新人戦の方法が採用されてから50年以上が経過しますが、本校サッカー部が中部予選で敗退したのは今回が初めてだと聞いています。そういう意味でも責任を感じており、特に応援して頂いている方をがっかりさせてしまったことに対して、非常に申し訳なく思っています。
ただし、予選敗退したことで、チームの現状を正しく把握することはできたとポジティブに捉えている面もあります。昨年のチームはどっちに転んでもおかしくない試合を最後は個の力で打開し、勝利することもありました。しかし、今年は個の力では通用しないこと、自分たちには力がないことを、中部予選敗退を通して痛いほど理解することができました。
失うものは何もありません。私も含めて今年は吹っ切れた気持ちで、チーム全体を底上げし、果敢に挑戦していく所存です。

(OB記者)
渡邊監督が大胆にチームを変革したいという熱意は伝わりましたが、具体的に練習や試合の中でどのような点を改善されているのでしょうか?

(渡邊監督)
選手権予選で静岡学園に敗退し、年末は茨城県波崎市で行われている波崎ユースカップに参加してきました。本大会には全国の強豪校が集まっていますが、どの試合も悪くない出来であったと分析しています。ただ、最後のところで決めきれない、守り切ることができないことが要因で、結果としては負け試合が多かったです。
これは本校サッカー部が抱える長年の課題であるとも捉えていたため、今年は守備の改革を行うことを決めました。練習ではペナルティエリア内での守備を繰り返し行い、「10回のピンチを10回守りぬく」を合言葉に、徹底してトレーニングを積んでいます。しかし、直ぐには結果として表すことはできず、新人戦では9回守って、最後の1回を守り切れずに失点をしたことが中部予選敗退につながってしまいました。
ただ、粘り強い守備ができるチームづくりという方向性は間違っていないと信じています。ブレることなく継続していきたいと思います。

(OB記者)
堅い守備ができるチームを目指す方向性には共感します。ただ、大きな目標である総体予選までは約2カ月と時間が限られています。あと2か月でどのレベルまで到達させる予定なのか、またそれに向けてのプランなどがあれば教えてください。

(渡邊監督)
総体予選の目標は優勝。そして全国大会に出場すること。本校サッカー部の目標をそこから変えるつもりはありません。ただ、目標に到達するための手段や過程は大いに見直すべきであると考えています。今年、監督として最も大事にしたいことは、選手を迷わせないこと。
私は現在の本校サッカー部の強みは、「真面目さ」と「理解力」であると考えており、戦い方をしっかりと選手に浸透させ、どんな試合でも迷わずに貫くことで、清水東らしい強さが発揮できると考えています。
今年のチームの戦い方は「粘り強い守備」と「早いテンポの攻撃」です。まずは残り約2か月間の練習の中で、この戦い方を徹底的に落とし込んでいきます。そして、それを磨き上げる実践の場として2月から始まるジャパンユースプーマスーパーリーグを位置付けています。このリーグはJクラブのユースチームや高校サッカーのトップチームと対戦できる貴重な機会であり、自分たちの力を試す絶好の機会です。特に守備陣においては、高いレベルのチームを無失点に抑えることで自信をつけてほしいと期待しています。

(OB記者)
「粘り強い守備」と「早いテンポの攻撃」こそが、現在の清水東らしい戦い方ということでしょうか?
(渡邊監督)
はい、そうです。そして、私が子どもの頃にあこがれていた清水東サッカー部も「粘り強い守備」と「早いテンポの攻撃」が徹底されていました。さたに言えば、当時の先輩方には「絶対に勝ちたい」という勝者のメンタリティを強く感じました。我々も目の前の一つひとつの勝利を積み重ねることで、少しずつ勝者のメンタリティを取り戻していきたいと思います。

(OB記者)
本日はありがとうございました。最後に応援して頂いているサポーターの皆様にメッセージをお願いします。

(渡邊監督)
皆様に喜んで頂ける結果を残すことができずに申し訳なく思っています。ただ、今できることは、やはり毎日の練習を一生懸命に積み重ねることだと考えております。2月から始まるジャパンユースプーマスーパーリーグでは強豪を相手に真剣勝負を挑んでまいります。総体では一回り逞しくなったチームをご覧いただけるよう邁進いたします。引き続きのご支援とご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。

監督プロフィール
渡邊 勝己(わたなべ かつみ)
1975年生まれ。清水東高校46回生。
富士市立田子浦中学校から清水東高校(以下 本校)に入学。サッカー部では1年時からメンバー入りを果たし、地元静岡で開催された平成3年全国総体で全国優勝を経験。その翌年も全国総体出場に貢献。本校卒業後は日本体育大学に進学し、卒業後は平成11年・12年に静岡県立藤枝東高校での講師経験を経て、平成13年に静岡県教職員として本校の定時制学級に赴任。その後、富士東高校サッカー部を9年率いた後、平成28年に本校サッカー部監督に就任。悲願の全国大会出場を目指して4年目のシーズンに挑む。

OB記者/大道和哉(清水東高校53回生)